飲食から営業職へ転職する際は、接客で培った経験と、応募先で新しく担当する仕事を分けて考えると、求人を選びやすくなります。営業未経験から応募できる求人もありますが、「人と話す仕事だから合いそう」という印象だけで決めず、商談以外の業務まで確認しておきたいところです。

この記事では、40代の飲食店長経験者も想定し、接客と営業の違い、営業求人の見方、2件を比べる記入例と空欄メモを紹介します。読み終えたら、気になる求人の分かっていること・未確認のことを6項目で整理できます。

営業以外の候補も含めて考えたい方は、先に飲食店長から異業種へ転職する際の仕事選びをご覧ください。この記事は、その中の「営業職」を具体的に調べるためのページです。

飲食の接客と営業の違い|使える経験と新しく覚える仕事

接客と営業には、お客様の話を聞く、分かりやすく説明する、関係者へ情報を共有する、といった共通点があります。ただし、扱う商品や仕事の進め方が変わると、同じ「聞く・伝える」でも準備する内容は変わります。

飲食での経験を、営業の担当業務と照合する例
飲食で実際に担当したこと営業で接点がある仕事新しく確認・習得すること
好みや利用目的を聞いて商品を案内する顧客の希望・課題を聞き、候補を説明する商材の知識、提案の組み立て方
予約や要望をスタッフへ共有する顧客の要望を社内の担当者へ引き継ぐ記録する項目、報告先、対応期限
注文・提供内容を確認して対応する見積りや受注内容を確認し、次の対応へ進める見積り・契約の手順、自分で判断できる範囲

この表は経験の接点を探すための例です。飲食の接客にも提案や販売目標があり、営業にも聞き取りや受注後の対応があります。職種名より、実際に何を担当するかを見比べましょう。

私が不動産営業で難しく感じたのは、お客様自身も気づいていない条件を引き出し、提案することでした。この経験を踏まえた職種選びや志望動機の整理は、40代・未経験転職の志望動機の記事で詳しく扱っています。

営業求人は「誰に・どう接点を作り・何を担当するか」で分ける

営業求人を、誰に、どう接点を作るか、何を担当するかの3つの切り口で整理した図

厚生労働省の職業情報提供サイト「job tag」でも、営業職を顧客や営業方法などの切り口で紹介しています。「法人営業」「ルート営業」「反響営業」は、同じ軸の分類ではありません。次の3つを組み合わせると、仕事内容が具体的になります。

相手|法人か個人か、何を扱うか

まず、相手が企業なのか個人なのか、何の商品・サービスを扱うのかを確認します。job tag「食品営業(食品メーカー)」は、飲食店などの業者向けの業務用食品と、スーパーなどで一般消費者へ販売される家庭用食品を紹介しています(2026年10月20日確認)。飲食の経験と接点があっても、商品の知識や取引先との商談の進め方は別に覚える部分です。

接点|新規・既存、訪問・電話・問い合わせなど

既存顧客を訪問する仕事なのか、新しい顧客を開拓するのか。電話や訪問で接点を作るのか、問い合わせから始まるのか。求人の呼び名に加えて、誰が、どのようにお客様との接点を作るのかを読み取ります。

job tag「営業の仕事」では、反響営業には問い合わせを受けた顧客への情報提供や別商品の紹介、ルート営業には既存顧客へのフォローや新商品の提案があると説明しています(2026年10月20日確認)。営業方法の呼び名に加え、実際の提案内容や担当範囲を確認しましょう。

範囲|提案・契約・受注後対応を誰が担うか

商談から契約までを担当するのか、受注後の手配や問い合わせ対応まで続けるのかも確認します。分業されている仕事と、一人の担当範囲が広い仕事では、一日の使い方が変わります。

例えば「飲食店向け食品の既存法人営業」と「個人向け住まいの反響営業」では、相手も接点も異なります。どちらが簡単かを決めるのではなく、自分が覚える仕事と続けたい働き方に照らして比較します。

飲食から営業へ転職するとき、求人で確認したい6項目

営業求人を比べる6項目、顧客・商材、接点の作り方、担当業務・分担、目標・評価、研修・相談先、勤務・給与

求人票で分かることを先に書き、書かれていない条件は「未確認」で残します。応募前の問い合わせや面接では、その欄から聞く内容を選ぶと整理しやすくなります。

  1. 顧客・商材:誰に、何を提案する仕事か。担当する顧客や商品が入社後にどう決まるかも確認します。
  2. 接点の作り方:新規・既存のどちらを担当するか、問い合わせ・訪問・電話などの方法、集客を担当する人を確認します。
  3. 担当業務・分担:商談以外に、仕入れ、資料作成、契約書類、納品後の対応などをどこまで担当するか。判断や承認が必要なときの相談先も見ます。
  4. 目標・評価:売上、契約件数、活動件数など、何をどの期間で評価するか。入社直後の目標や、未経験者の仕事の進め方を確かめます。
  5. 研修・相談先:同行や商品研修の内容、独り立ちの進め方、困ったときに相談する相手を確認します。「研修あり」から、実際の教わり方へ一歩具体化します。
  6. 勤務・給与:勤務日時、顧客対応が入りやすい時間帯、固定給と成果連動部分の条件を見ます。収入の比較方法は飲食店長から異業種へ転職する際の年収の比べ方にまとめています。

40代で営業職が初めての場合も、店長経験が長いことと、営業の仕事を初日から一人で進められることは分けて確認したい点です。「入社直後に任せる仕事」「その時期の目標」「教わる相手」の3つが具体的かを見ておきましょう。

筆者の経験|販売だけでなく、仕入れにも別の難しさがあった

面接で受けた「マニュアル通りなら未経験でも大丈夫」という説明の経緯は、飲食店長から異業種への面接の記事にまとめています。ここでは、入社後に担当した仕入れの仕事に目を向けます。

私が勤務した不動産会社では、フルリフォームしてから販売する物件を仕入れていました。そのため、相場よりもかなり安い価格で仕入れる必要がありました。

電話でいきなりこちらの希望額を伝えるだけでは、すぐに断られてしまいます。売主さんの状況を聞き出しながら、価格交渉を続けていく。その駆け引きに、販売とは違う難しさを感じました。

良い仕入れができるかどうかが、販売のしやすさにも関わる重要な仕事だと感じていました。仕入れにも別の営業力が必要で、マニュアル通りにはいかない経験でした。

これは私が勤務した会社での経験です。今、営業求人を選ぶ方には、「商談以外に、仕入れ・集客・書類対応のどこまで担当するか」「その仕事は誰に教わるか」を確認することをおすすめします。営業という名前の中に、自分が想像していなかった仕事が含まれていないかを見るためです。

求人2件を比べる|記入例と保存用の空欄メモ

以下は書き方を示す架空の求人の比較例です。金額・勤務時間を含め、実在企業の募集条件や筆者の勤務条件ではありません。給与額は控除前の架空の額で、相場を示すものではありません。分かっている部分を具体的に書き、残った未確認事項を質問へつなげる例です。

スマホでは、表を横に動かしてA・Bを見比べられます。

記入例:食品の既存法人営業と、住まいの反響営業を比較
項目求人A:飲食店向け食品の営業求人B:個人向け住まいの営業
顧客・商材飲食店へ業務用食品を提案住まいを探す個人へ物件を案内
接点の作り方既存顧客への訪問。新規開拓の有無は未確認問い合わせへの対応。集客を誰が担うかは未確認
担当業務・分担商品提案・受注内容の確認。配送の担当は未確認案内・提案。仕入れや契約書類の担当範囲は未確認
目標・評価未確認。入社直後の目標と評価期間を聞く未確認。活動と契約をどう評価するか聞く
研修・相談先同行あり。期間・独り立ちの基準は未確認商品研修あり。商談時の相談先は未確認
勤務・給与固定給は月25万円(額面)、勤務は9:00〜18:00。成果連動の条件・固定残業代の有無は未確認固定給は月24万円(額面)、勤務は10:00〜19:00。休日の顧客対応・成果連動の条件は未確認

先ほどの筆者の仕入れ経験のような商談以外の仕事も、「担当業務・分担」の欄で確認します。

Aなら「受注後の配送や問い合わせは、どの担当へ引き継ぎますか」、Bなら「問い合わせにつなげる集客作業は、営業も担当しますか」と聞けます。自分の未確認欄を、そのまま具体的な質問に変えるのが使い方です。

保存用|営業求人2件の比較メモ

表をメモアプリなどへコピーして使ってください。求人名・参照URL・確認日を控えると、後から募集内容を見直せます。

Aの求人名・URL:______
Bの求人名・URL:______
確認日:__年__月__日

空欄版:分からない部分は「未確認」と記入
項目求人A求人B
顧客・商材________
接点の作り方________
担当業務・分担________
目標・評価________
研修・相談先________
勤務・給与________

先に確かめたい未確認項目:______
質問内容・確認先:______

飲食から営業へ転職するときのよくある疑問

営業職と営業事務は何が違いますか?

営業職は顧客への提案や商談など、営業事務は見積り・受注に関する事務処理や営業担当の支援などが仕事の例です。ただし、会社によって分担は変わります。名称だけで選ばず、顧客対応と事務作業の範囲を求人票で確認してください。飲食店長の職務経歴書の記事にある営業事務向けサンプルは、営業職そのものの例文とは分けて活用しましょう。

資格や普通自動車免許は必要ですか?

扱う商品や移動方法、担当業務によります。営業未経験で応募できるかに加え、必須資格・歓迎資格、運転の頻度を求人ごとに確認します。不動産など特定の業界で関係する資格を、営業職全体の必須条件と考える必要はありません。

営業以外の仕事とも迷っている場合は?

接客や店長経験のどの部分を使いたいか、どの働き方を変えたいかに戻って候補を広げます。40代で飲食業を辞めたいときの同業・異業種の選び方も、方向を整理する手がかりになります。

まとめ|気になる営業求人を2件、同じ6項目で比べる

飲食から営業へ移るときは、接客経験との共通点に加え、営業先で新しく覚える仕事を見ておきましょう。顧客との接点や、商談以外の担当範囲まで分かると、仕事を具体的に想像しやすくなります。

まずは比較メモを保存し、気になる求人2件の「顧客・商材」を1行ずつ書いてみてください。残りの未確認欄から、自分が先に確かめたいことを一つ選びましょう。

それでも仕事内容や希望を整理しにくい場合は、比較メモを持って転職エージェントへ相談する方法もあります。初回面談で話すことと相談の準備を参考にしてください。

応募先が見えてきたら、飲食店長から異業種への面接準備で、経験と担当業務のつなぎ方を確認できます。

在職中に応募準備を進める場合は、シフトに合わせた転職活動の予定の組み方も参考にしてください。

営業求人を比べたあとの年収・書類・面接の準備は、飲食店長の異業種転職ガイドで順番を確認できます。営業以外の候補と迷う場合も、仕事選びの段階へ戻って整理できます。

参考資料

公式情報の確認日:2026年10月20日。仕事の分類や仕事内容の参考として使用しています。個別の募集条件は、各求人票と応募先の説明で確認してください。