40代の飲食店長から異業種へ転職|店長経験が生かせる仕事の探し方
「飲食店ではいろいろな仕事をしてきたけれど、異業種で使えるスキルがあるのだろうか」
40代で転職を考える飲食店長の方には、そんな迷いがあるかもしれません。
私も飲食店の店長から、未経験の不動産営業へ転職しました。店舗を任され、採用や教育、シフト、売上・原価管理などを幅広く担当していました。それでも転職後、チームをまとめたり、部下を育てたりする立場にはなれず、せっかくの経験を生かせなかったと感じています。
経験を持っていることと、入社後にその経験を使う仕事を任されることは、別に考える必要がありました。
この記事では、私が店長として担当していた仕事と、不動産営業への転職で感じたことを紹介します。そのうえで、店長経験と応募先の仕事内容を照らし合わせる方法をまとめます。
約40席の店舗を、約6年間任されていた
私は本店で約1年半修行したあと、立ち上げ店舗の店長として約6年間働きました。
店舗は1階と2階を合わせて約40席。社員は自分を含めて2〜3人、アルバイトは10人前後でした。
担当していたのは、採用面接、新人教育、シフト作成、売上・原価管理、発注、クレーム対応など、店舗を動かすための仕事のほぼ全てです。
「店長」と一言でまとめると見えにくいのですが、人を採用し、教え、勤務を組み、仕入れや在庫、数字を見ながら営業を続ける仕事でした。
社員の採用は、募集しても新入社員がなかなか入ってこないことが悩みでした。一方、アルバイトは既存のアルバイトからの友人紹介でつないでいたため、人数で困ったことはありませんでした。
採用について話す場合も、「人手不足を解決した」と一括りにせず、社員採用の課題と、アルバイトの人数を確保できていた方法を分けて説明するほうが、自分の経験が正確に伝わります。
経費を増やさず、売り方や営業時間を変えていた
店長時代は、経費を増やさずにできることなら、いろいろと試しました。
- 店内のPOPを変える
- 既存の材料を使って新メニューを考える
- コースに曜日ごとの女性向け割引を設ける
- 予約時間や営業時間を見直す
店長時代の実績として、約1年半で月商700万円を達成しました。
予約が19時からに集中する状況を見直し、18時からと20時15分からの2回転制に変更したこともあります。
また、深夜営業をやめて、土日は13時から営業する形に変えました。
ここで仕事探しの材料にしたいのは、売上の数字だけでなく、「現場の状況を見て、運用を変えていた」という担当範囲です。月商700万円の達成を、これらの変更だけの効果として結び付けることはしません。
最初はIT系を希望し、その後に不動産営業を選んだ
異業種への転職では、初めはIT系の仕事を希望していました。しかし、面接まで進めませんでした。
その後、不動産営業を選んだのは、宅建資格による専門性や歩合給、将来の独立に魅力を感じたからです。これは当時の期待です。応募先を選んだ理由と志望動機の整理は、40代未経験転職の志望動機の作り方で詳しく紹介しています。
店長経験をそのまま生かそうと考えていたというより、これまで人柄や真面目さで信頼を得ていたという自分の感覚がありました。そのため、営業でも正直に対応すれば通用するのではないかと思っていました。
しかし、実際には、真面目さや正直さだけで通用するとは感じられませんでした。正直に対応することの大切さと、それだけで成果を出せるかどうかは、別の話だったのだと思います。
転職先の不動産営業で担当した仕事
転職したのは、中古マンションの一室を会社で買い取り、リフォームして販売する、買い取り再販の会社でした。
私が担当した仕事は、次のようなものです。
- 物件の仕入れ
- 販売チラシの作成、ポスティング
- サイトや写真の更新
- 現地でのオープンルーム、訪問客への対応
- 契約対応
- 銀行ローンの相談
- 書類作成
同じ「営業」という職種名でも、私が担当したのは、お客様と話す仕事だけではありませんでした。物件の仕入れから販売準備、来場者への対応、契約に関する仕事までありました。
この経験から、今なら職種名だけで判断せず、一日の仕事と担当範囲を確認します。

店長経験を評価されることと、入社後に使えることの違い
店舗を任されていた責任、幅広い仕事を担当してきた自信、数字を残した実績。面接では、人柄も含めて、そうした点を評価されて採用されたのではないかと思っています。
ただし、採用理由を会社から具体的に確認したわけではありません。これは私自身の受け止めです。
そして入社後には、チームをまとめたり、部下を育てたりする立場になれませんでした。そのため、店長時代の経験を生かすことができなかったと感じています。
「店長経験があるから、次の会社でも人をまとめる仕事ができる」とは限りませんでした。
今振り返ると、自分が持っている経験を説明するだけでなく、応募先でその経験を使う担当業務や役割があるかを、確認しておくべきだったと思います。
店長経験を、転職先の仕事内容に照らし合わせる3つの手順

ここからは、私の経験を踏まえた仕事探しの整理方法です。以下の職種や業務は比較の候補であり、私が全て経験した仕事ではありません。
1.経験の一覧から、今後も担当したい仕事を選ぶ
経験を書き出したら、次の仕事でも担当したいものを2〜3個選びます。私なら、チーム運営や新人教育を使う場面があるかを、仕事選びの条件にします。
幅広く担当してきたからこそ、全ての経験を一つの求人で使おうとせず、「今後も続けたい仕事」と「経験はあるが優先しない仕事」を分けます。
2.求人票で「担当する仕事」と「判断できる範囲」を確かめる
同じ教育経験でも、自分で新人教育の進め方を考える仕事と、決まった手順を伝える仕事では担当範囲が違います。数値管理も、数字を入力する仕事と、数字を見て改善を決める仕事を分けて確認します。
求人票の仕事内容に、使いたい経験と重なる業務が書かれているかを見ます。さらに、誰の指示で動くのか、自分が判断する範囲はどこまでか、入社直後から担当するのかを、分からない点としてメモしておきます。
3.経験が重なる部分と、新しく学ぶ部分を並べる
| 店長経験 | 応募先で照らし合わせる業務 | 確認したいこと |
|---|---|---|
| 採用・新人教育 | 採用補助、研修、新人指導 | 入社後に教育を担当する機会があるか |
| シフト・チーム運営 | 人員配置、進行管理、現場運営 | 誰をまとめ、どこまで判断する役割か |
| 売上・原価管理 | 数値管理、予算管理、業務改善 | どの数字を担当し、何を改善する仕事か |
| 発注・在庫管理 | 商品管理、仕入れ補助、在庫管理 | 扱う商品やシステムの違いは何か |
| 接客・クレーム対応 | 顧客対応、問い合わせ対応 | 対応相手、相談内容、評価基準は何か |
| POP・販促の工夫 | 販売促進、チラシ・サイトの更新 | 制作だけか、企画や効果の確認も担当するか |
例えば、教育の経験を使いたいなら、「未経験歓迎」という言葉だけでなく、新人指導や研修が担当業務に含まれているかを見ます。
顧客対応の経験を使いたい場合も、問い合わせへの対応と、新しく契約を獲得する営業では、求められる仕事が違う可能性があります。自分の経験と重なる点、これから学ぶ点を分けて確認します。
店長経験を職務経歴書へ書く段階との違い
経験を伝える際の「課題・役割・工夫・結果」という順番は、経験を整理する土台になります。実際に職務経歴書や自己PRの文章へまとめる方法は、40代未経験転職の職務経歴書・自己PRへ進んでください。
この記事では、整理した経験を材料に、「どの求人なら使う場面があるか」「入社後にどの役割を任されるか」を比較します。書類を書く前に仕事の中身を確かめ、応募先が決まったら、その仕事に関係する経験を職務経歴書で伝える流れです。
経験を生かせる仕事を探すときの候補の広げ方
候補を探すときは、職種名を一つに決める前に、自分が今後も担当したい業務を選んでみてください。
- 人を教える仕事を続けたいなら、新人教育や研修がある求人
- チーム運営を続けたいなら、現場運営や人員配置を担当する求人
- 数字を見る仕事をしたいなら、売上・予算管理や改善がある求人
- 顧客対応を生かしたいなら、接客や問い合わせ対応が中心の求人
- 販促の工夫を続けたいなら、販売促進や制作・更新業務がある求人
小売・サービス業の店舗運営、顧客対応、営業支援、採用・教育の補助、商品・在庫管理などは、仕事内容を比較する入口になります。
ただし、担当業務が似ていても、必要な専門知識、使うシステム、応募条件まで同じとは限りません。求人ごとに確認し、重なる経験だけでなく、足りない知識をどう学ぶかも考えます。
店長経験を生かすために面接で確認したい2つの質問
今の私なら、店長経験を使う場面について、次の2つを確認します。
①「店長として新人教育やシフト調整を担当していました。今回の募集では、こうした経験を使う業務はありますか。ある場合、入社直後から担当するのでしょうか?」
②「将来的にチーム運営を担当するには、どのような経験や実績が必要ですか。役割が変わる条件と、その判断方法を教えていただけますか?」
「店長経験を生かせますか?」だけで終えず、担当する業務と、任される時期・条件を具体的にします。将来の可能性についての説明と、入社時に任される役割も分けて確認してください。
仕事の教わり方、評価基準、勤務時間などの共通項目は、40代・未経験転職の面接で使える逆質問12例で質問を選べます。
仕事との相性を確かめることに加え、前職を辞めた理由を面接で説明する準備も必要です。本音と次の仕事で求めることを整理したい方は、40代の転職面接で退職理由をどう伝える?を参考にしてください。
店長から異業種へ転職するときのよくある疑問
Q.店長経験は、異業種ではアピールになりませんか?
A.役職名だけでは担当していた仕事が伝わりにくいため、業務、判断した範囲、工夫、実績へ分けて説明します。そのうえで、応募先の仕事と重なる部分を選びます。店長経験だけで採用が決まるとは限りませんが、自分ができることを具体的にする材料になります。
Q.管理職として応募したほうがよいですか?
A.まず、求人票の「仕事内容」と「応募条件」を見ます。教育、人員配置、チーム目標の管理などを担当する募集で、必要な業界経験や資格などの条件も満たすなら、管理職の求人を比較対象にできます。一方、業界の実務経験が必要でまだ持っていない場合は、実務から学ぶ求人や、経験を使う別の役割も比較します。
「管理職候補」という名称だけでは、入社時の役割までは分かりません。すぐに管理業務を担当する募集か、将来の登用を想定した募集か、部下の有無と判断できる範囲、登用の条件を確かめてください。そのうえで、人をまとめる仕事を続けたいのか、新しい実務を優先して学びたいのか、自分の希望と照らし合わせます。
Q.売上などの数字を正確に覚えていない場合は?
A.確認できる数字だけを使い、覚えていない実績を作らないようにします。数字がなくても、困っていたこと、実際に行った変更、確認できる結果を説明できます。
任されてきた仕事を、次に任される仕事と照らし合わせる
毎日の営業で当たり前に担当していた仕事も、次の職場を選ぶ材料になります。まずは、今後も担当したい業務を2〜3個選び、気になる求人の仕事内容と並べてみてください。
教育を続けたいなら教育を担当する機会を、運営改善を続けたいなら自分で判断できる範囲を確かめます。似た業務があることに加えて、その役割を自分が任されるかを見るのがポイントです。
私の転職では、幅広い経験を持っていても、チームをまとめ、部下を育てる立場にはなれませんでした。その経験から、持っている強みを伝えることと、入社後に使う場面を確認することの両方が大切だと感じています。
