「今の仕事を辞めて、時間を作ってから転職活動を始めたい」

そう考える方もいると思います。私も仕事を辞めてから転職活動を始めました。しかし、書類選考がなかなか通らず、次の仕事が決まるまで約6か月かかりました。応募数や当時の内訳は、40代後半の転職活動体験談にまとめています。

朝、娘の登校に付き添うと、周りの大人は仕事へ向かっていきます。その姿を見ながら、「みんな働いているのに、自分はこのままで大丈夫なのか」と強い不安を感じたことを覚えています。

今振り返ると、退職届を出す前に、自分の経験が転職市場でどう評価されるかを確かめ、仕事が決まらない期間も含めて準備しておくべきでした。

この記事では、40代の転職経験から、仕事を辞める前にやることを7つに整理します。退職を思いとどまらせるための記事ではありません。辞めると決めたあとに、できるだけ不安を減らして次へ進むためのチェックリストです。

先に確認したい7項目

  1. 辞めたい理由と次の仕事で変えたいこと
  2. 経験・実績・スキルの棚卸し
  3. 転職市場での評価と不足しているもの
  4. 仕事が決まらない期間の生活費
  5. 履歴書・職務経歴書と実績資料
  6. 求人条件と入社後の教育体制
  7. 雇用保険・健康保険・年金などの手続き

仕事を辞める前にやること7選

最初から全部を完璧にする必要はありません。まずは「まだ分からないこと」を見つけるだけでも、退職後の迷いを減らせます。

1.辞めたい理由と、次の仕事で変えたいことを分ける

最初に、「今の仕事を辞めたい理由」と「次の仕事で実現したいこと」を分けて書き出します。

たとえば、残業が多いことが辞めたい理由でも、次の職場で本当に優先したいのは、勤務時間、収入、仕事内容、将来性のどれでしょうか。ここが曖昧なままだと、違う会社へ移っても同じ悩みが残ることがあります。

私は、未経験で一時的に給料が下がっても、歩合で収入を伸ばせること、または経験を積んで将来独立できることを重視しました。同時に、飲食店長時代には難しかった、娘と一緒に夕飯を食べられる時間帯も譲れない条件でした。

条件の決め方は、40代の転職で譲れなかった条件を整理した記事で詳しく紹介しています。

2.経験・実績・スキルを「できること」に変える

次に、担当した仕事を「何をしたか」「どのように工夫したか」「どんな結果につながったか」に分けて整理します。資格や肩書きだけがスキルではありません。

私の場合、IT系の職種も希望していました。PHPの編集やPhotoshopによる画像加工など、いろいろな作業を経験していましたが、「プログラミングができる」「デザインができる」と明確に言えるほどではありませんでした。幅広く触れていた一方で、応募先に伝わる強みとしてまとめられず困りました。

そこで、次のように分解してみます。

  • どの業務で使ったのか
  • 一人でどこまでできるのか
  • どのくらいの頻度で行ったのか
  • その作業で何を改善したのか
  • 応募先でも再現できそうか

「少し使える」で止めず、実際の作業に置き換えると、職務経歴書に書ける経験と、これから補うべき部分を分けやすくなります。厚生労働省のマイジョブ・カードでも、過去の業務、役割、経験、知識などを棚卸しする方法が案内されています。

3.辞める前に転職市場での評価を確かめる

この記事は、「40代の転職準備は何から始める?」で紹介した4つのステップのうち、ステップ3「求人と経験を照らし合わせる」を、退職前の市場評価という視点から深掘りしています。

私が最もやっておけばよかったと思うのが、在職中に転職エージェントなどへ相談することです。

登録したからといって、必ずそのサービス経由で転職する必要はありません。求人を紹介されるか、希望職種でどの経験が評価されるか、足りないスキルは何かを確認するだけでも、自分一人の判断とは違う材料が得られます。

ただし、一社の担当者の意見だけで自分の価値を決めないでください。紹介できる求人はサービスごとに異なります。求人サイトで募集条件を確認し、必要なら複数の相談先を比べます。

転職エージェントを業界・目的別に比較した記事もあります。まずは、自分の経験に合う相談先があるかを確認してみてください。

4.仕事が6か月決まらなくても暮らせるか計算する

6か月続いた転職活動の不安を表す餃子キャラクター

転職活動が何か月で終わるかは、始める前には分かりません。私も、約6か月かかるとは思っていませんでした。

退職前に、少なくとも次の支出を一度書き出しておきます。

  • 家賃や住宅ローン
  • 食費、水道光熱費、通信費
  • 健康保険、年金、住民税
  • 子どもの教育費や家族に必要な支出
  • 転職活動の交通費、証明写真、衣服など
  • 急な通院や修理に備える予備費

失業給付を受けられる場合でも、退職直後から以前と同じ収入が入るわけではありません。厚生労働省によると、基本手当には受給要件があり、自己都合退職では7日間の待期後、原則1か月の給付制限があります。条件や手続き時期で変わるため、退職前に住所地を管轄するハローワークへ確認してください。

金額だけでなく、家族にも「どのくらいの期間を想定しているか」「条件をどこまで広げるか」を話しておくと、焦りを一人で抱え込みにくくなります。

5.在職中に履歴書・職務経歴書と実績資料を作る

退職してから書類を作ろうとすると、記憶が曖昧になったり、必要な数字を確認できなくなったりします。在職中に、守秘義務に触れない範囲で次の内容をメモしておきましょう。

  • 在籍期間、部署、役職
  • 担当業務と一日の流れ
  • 売上、件数、人数、改善率など説明できる数字
  • 新人教育やトラブル対応の具体例
  • 利用したソフト、機器、資格
  • 評価されたこと、工夫したこと

会社の顧客情報、社外秘資料、個人情報を持ち出してはいけません。必要なのは資料そのものではなく、自分の仕事を正確に説明できる記録です。

6.求人条件と入社後の教育体制を確認する

「未経験でも大丈夫」と書かれていても、入社後の教え方や、独り立ちまでの期間は会社によって違います。

私が未経験で営業職へ入って感じたのは、良くも悪くも、営業は売ることが結果として強く求められる仕事だということです。一生懸命取り組むだけでは評価につながらない場面があると、入社してから気づきました。未経験の仕事では、どんな職種でも「何を基準に評価されるか」が入社前には見えにくいものです。

だからこそ、応募や面接の段階で次の点を確認します。

  • 一人で担当するまでの目安は何か月か
  • 最初の1週間、1か月、3か月の教育予定
  • 営業の基本を誰から、どのように教わるのか
  • 目標未達が続いた場合、どのような指導や見直しがあるか
  • 成果を判断する数字と期間
  • 固定給と歩合給、手当の内訳

特に、「6か月たって売れなければ居場所がない」という状況を避けるには、研修の有無だけで安心せず、期間、担当者、評価基準まで聞くことが大切です。

具体的な聞き方は、40代・未経験転職の面接で使える逆質問12例を参考にしてください。

7.退職後の雇用保険・健康保険・年金を確認する

退職前に確認したい7項目を示す餃子キャラクターの図解

次の勤務先が決まる前に退職すると、転職活動とは別に公的な手続きが必要になります。勤務先や家族の状況によって選択肢が異なるため、退職前に窓口と期限を確認しましょう。

  • 雇用保険:離職票の受け取り方、受給要件、申請先を確認する
  • 健康保険:任意継続、国民健康保険、家族の扶養を比較する
  • 年金:次の会社へすぐ入らない場合の切り替えを確認する
  • 税金:住民税の支払い方法と時期を確認する
  • 会社から受け取る書類:離職票、源泉徴収票、雇用保険被保険者証などを確認する

協会けんぽでは、退職後の健康保険として任意継続、国民健康保険、家族の健康保険の被扶養者という選択肢を案内しています。日本年金機構によると、次の会社へすぐ入らない場合などは、国民年金への切り替えが必要です。

制度は改正されることがあります。この記事だけで手続きを判断せず、退職時点の公式情報を確認してください。

退職前チェックリスト

確認項目 退職前に残しておく答え
転職理由 次の仕事で変えたいことは何か
経験・スキル 応募先で生かせる具体的な業務は何か
市場評価 どの職種なら紹介・応募の可能性があるか
生活費 無収入や収入減が続く期間に耐えられるか
応募書類 実績を数字や具体例で説明できるか
求人・面接 教育期間、評価基準、給与の内訳を確認したか
公的手続き 必要書類、期限、相談窓口を確認したか

仕事を辞めてから転職活動を始めてもよいケース

在職中の転職活動が常に正解とは限りません。心身の不調、ハラスメント、安全上の問題など、働き続けることで状況が悪化する場合は、まず自分を守ることを優先してください。

また、勤務時間が長く、面接や応募準備の時間をどうしても確保できない方もいます。その場合も、相談窓口、生活費、退職後の手続きを先に確認しておくと、辞めたあとに転職活動へ集中しやすくなります。

この記事は、個別の退職時期を決める法律・医療・家計相談ではありません。勤務先の状況や健康状態に合わせ、必要なら公的窓口や専門家へ相談してください。

よくある質問

転職先を決めてから退職した方がよいですか?

収入が途切れる不安を減らすなら、在職中に転職活動を始める方法があります。ただし、健康や安全を損なってまで続ける必要はありません。自分の状態、生活費、家族の事情を合わせて判断してください。

転職エージェントへ相談したら、必ず応募しなければいけませんか?

サービスごとの利用条件によりますが、相談や求人紹介を受けたからといって、紹介された求人へ必ず応募するものではありません。応募を急かされた場合も、条件を確認してから自分で判断しましょう。

幅広い経験は、スキルとして評価されませんか?

幅広い経験にも価値はあります。ただし、「いろいろできます」だけでは採用側が任せられる仕事を判断しにくくなります。使用場面、対応範囲、頻度、成果に分け、応募先で生かせるものを選んで伝えてください。

未経験求人では、研修ありと書かれていれば安心ですか?

「研修あり」だけでは内容が分かりません。期間、教える担当者、独り立ちの基準、研修後の相談先を確認しましょう。目標未達が続いた場合の支援や評価方法も判断材料になります。

まとめ:退職届の前に、自分の現在地を確かめる

仕事を辞める前にやることは、手続きをそろえるだけではありません。自分の経験がどこで評価されるのか、仕事が決まらない期間をどう支えるのか、入社後に何を求められるのかまで確かめることが大切です。

私は退職後に転職活動を始め、書類選考に苦戦して約6か月かかりました。あのとき在職中にスキルを棚卸しし、第三者から市場評価を聞いていれば、応募先や学び直す内容をもう少し早く絞れたかもしれません。

まずは7項目のうち、答えられないものに丸を付けてみてください。今日、退職届を書く前に一つだけ確認するとしたら、あなたはどの項目から始めますか?

参考にした公式情報