飲食店長の退職理由はどう伝える?上司への切り出し方と伝え方の例
「店長なのに辞めると言ってよいのか」「社長に何から話せばよいのか」。飲食店長として働いていると、自分の退職だけでなく、その後のシフトやスタッフのことも気になるかもしれません。
退職を決めているなら、「退職の意思・理由・希望日・引き継ぎの相談」の順で、伝える内容を用意しましょう。理由を上手に飾るより、決めたことと、会社へ確認したいことを分けると話の軸が見えます。
こんな人向け
✓ 店長なので退職を言い出しにくい
✓ 人手不足が気になり、伝えるのを迷っている
✓ 社長へ直接伝える必要がある
✓ 引き継ぎをどう進めるか不安
この記事は、雇用されている飲食店長が、現在の社長・上司へ退職を伝える準備をするページです。店舗の経営者としての廃業や、フランチャイズ契約の解約とは手続きが異なります。
応募先の面接で説明する方法は、転職面接での退職理由の整理と回答例へ。ここでは、今の勤務先へ伝える言葉と、退職までの相談事項を扱います。
この記事で用意できるもの
- 上司に退職を切り出す短い言葉
- 自分の事情に置き換えられる完成例文
- 話す前の準備メモと、話し合い後の引き継ぎ表
まだ退職自体を迷っている場合は、飲食を続けるか、同業・異業種へ移るかの整理から始めてください。勤務条件の改善を相談したい段階と、退職の意思を伝える段階は分けて考えられます。
飲食店長が退職を伝える前に整理したい3つのこと
最初から長い説明文を作る必要はありません。まず「理由・日程・担当業務」を整理し、話し合いで決める部分を残しておきます。
理由は、起きたことと自分の判断を分ける
メモには、勤務時間、家族との生活、仕事の負担、今後進みたい方向など、本音を書いて構いません。その中から、退職の判断に関わった中心の事情を選びます。
例えば「もう無理」だけでは、何を伝えたいかが相手に届きにくくなります。「現在の勤務時間と家族の生活を両立しにくく、今後の働き方を見直すため退職を決めた」というように、事実と判断をつなぎます。複数の事情があるなら、必要な補足を添えればよく、無理に一つの原因へまとめる必要はありません。
希望日を考え、契約と社内の手続きを確認する
雇用契約書の契約期間と、就業規則の退職手続き・申出先を確認します。「店長なら必ず何か月前」と役職だけで日数を決めず、自分の契約に沿って確かめてください。
厚生労働省は、期間の定めのない労働契約で労働者が任意退職(辞職)を申し入れる場合、原則としてその後2週間で契約が終了すると案内しています。会社と日付などに合意して辞める「合意退職」とは区別されます。期間の定めがある契約の途中退職は扱いが異なるため、同じ日数で判断しません。就業規則の手続きも確認し、具体的な日程で会社と意見が合わない場合は、後述の相談窓口へ契約書や経緯を持って確認してください。
出典:厚生労働省「退職、解雇、雇止めなど」(2026年10月20日確認)。
退職日、最後に出勤する日、有給休暇の希望は別々に書いておくと、日程の確認が具体的になります。まだ調整していない日付は「希望」と分かる形にします。
担当業務は、引き継ぐ相手が未定でも書き出す
自分が担当している発注、予約管理、シフト作成、売上の報告などを挙げます。40代で店長経験が長い方も、長年の仕事を一度に説明するより、「自分だけが把握していること」から整理すると優先順位を付けやすくなります。
引き継ぎ相手や後任の配置は、会社へ確認する事項です。最初の面談までに、すべての担当と日程を自分で確定させる必要はありません。
社長・上司にどう切り出す?退職を伝える4つの順番
個人店で社長が直接の上司なら社長へ、チェーン店ならエリアマネージャーなど、職場の報告経路に沿って話す相手を確認します。
営業中の立ち話を避け、個別に話せる時間を取ります。例えば「今後の勤務についてお伝えしたいことがあります。個別にお時間をいただけますか」と切り出せます。相手の予定と自分の勤務を見て、落ち着いて話せる日時を決めましょう。

| 順番 | 伝える内容 |
|---|---|
| 1 退職の意思 | 退職を決めたことを伝える |
| 2 理由 | 判断につながった中心の事情を短く添える |
| 3 希望日 | 退職希望日と、日程で確認したいことを示す |
| 4 引き継ぎの相談 | 担当業務を示し、相手・期限を相談する |
最初から最後まで話す完成例
以下の会話・事情別の例文・返答例は、説明用の架空例です。筆者が当時話した言葉ではありません。理由、日付、対応できる業務は、ご自身の事実に置き換えてください。
お時間をいただきありがとうございます。今後の働き方を考え、退職する意思を固めました。現在の勤務時間と家庭の生活を両立することが難しく、働き方を見直したいと考えています。退職日は○月○日を希望しています。担当している業務を整理しましたので、引き継ぐ相手と進め方、日程について相談させてください。
話し終わったら、相手の返答を聞きます。まだ確認できていない引き継ぎを「全部終えます」と約束するより、何をいつまでにできるかを具体的に相談します。
飲食店長の退職理由の伝え方|事情別の例文
言い回しを覚えるより、自分が退職を決めた事情に合う例を選びます。以下は理由の部分の例なので、前節の「退職の意思・希望日・引き継ぎの相談」と組み合わせて使えます。
勤務時間や休日を見直したい場合
今の勤務時間と家族の生活を両立することが難しく、今後も働き続けるために勤務時間や休日の取り方を見直したいと考えています。検討した結果、今の職場を退職することにしました。
家族の病名や細かい事情を長く説明する形にせず、仕事を続けるうえでどのような調整が必要なのか、伝える範囲を決めます。
店長としての負担や担当範囲を変えたい場合
現在の担当範囲と働き方を、この先も続けることは難しいと考えています。店長の仕事を続けるかも含めて考えた結果、別の環境へ移るため退職を決めました。
会社への不満をすべて説明するより、自分が続けられる範囲と、退職を決めたことを伝えます。配置変更や役職変更があれば残りたい段階なら、その希望を相談する話として組み立ててください。
異業種の仕事へ進みたい場合
今後の仕事について考え、飲食以外の分野へ進むことを決めました。これまで担当した仕事は整理して引き継ぎ、退職までの進め方を相談したいと考えています。
転職先が決まっていない場合に、決まったように話す必要はありません。まだ仕事の方向を検討しているなら、その段階と退職の意思を分けて説明します。
筆者の経験|理由は一つではなく、社長へ直接伝えた
私は飲食店を退職するとき、社長に直接伝えました。背景には、コロナ禍の家族の安全、人員不足、飲食での独立への不安など、複数の事情がありました。
これは当時の私の判断です。社長へ話した言葉をそのまま再現するものではありません。詳しい背景は、飲食での独立を考え直したきっかけで紹介しています。
今振り返ると、理由が複数ある人ほど、話す前に全体を整理し、最初に伝えることと補足することを分けるとよいと考えています。これは現在の私の見解で、当時その方法で話したという意味ではありません。
人手不足や待遇改善で引き止められたときの話し方
返答を考えるときは、「退職の意思は変わらない」のか「条件が変われば残ることも検討したい」のかを先に確認します。相手の提案に、その場ですべて答えようとしなくても構いません。
「後任が決まるまで待ってほしい」と言われたら
人員の調整が必要なことは理解しています。ただ、退職の意思は変わりません。退職日について確認したうえで、それまでに引き継ぐ業務と、受け取っていただく方を相談させてください。
「後任が決まったら」という条件だけでは、日程の見通しが立ちにくくなります。自分の希望日、会社からの返答、引き継ぎ可能な範囲をメモし、上司に確認する期限も決めます。
給与アップや勤務改善を提案されたら
提案を検討する場合は、退職を考えた理由が実際に変わるかを見ます。給与だけでなく、人員体制、勤務時間、担当範囲など、自分が困っていた点に対応する内容かを確認してください。
例えば「人を増やす予定」という説明なら、配置する人と時期、実現までの働き方を確認します。持ち帰って考えるなら、返答する日も伝えます。退職の意思が変わらない場合は、「ご提案ありがとうございます。考えたうえで、退職の意思は変わりません」と短く返せます。
話し合いが進まないときは、記録を持って相談する
伝えた日、相手、希望日、会社の返答を記録します。契約書や就業規則も手元に置き、会社と日程の見解が合わないなど、自分だけで整理しにくい点を相談内容にします。
厚生労働省の総合労働相談コーナーでは、職場のトラブルについて電話・面談で相談でき、利用は無料です。案内からお近くの窓口と受付時間を確認してください。退職のトラブルの相談と、転職先を探すエージェントへの相談は分けて考えます。
保存用|飲食店長の引き継ぎ表(仕事・相手・期限)
話し合いで日程や窓口を確認したら、次は引き継ぎ表を作ります。仕事ごとに、誰が受け取り、いつまでに説明するかを整理します。相手や期限が未定なら、上司に確認する事項として残します。

引き継ぎ表の記入例
次は架空の記入例です。日付や担当者は、会社と確認できた内容へ置き換えます。本文の3項目に収まらない手順や進行中の案件は、別の資料へまとめ、仕事の欄に保存場所を添えます。
| 仕事 | 相手 | 期限 |
|---|---|---|
| 発注:締切・在庫表・発注手順を説明 | エリアマネージャー | 11月5日 |
| シフト作成:確定分と未調整分を共有 | 上司に担当者を確認 | 11月2日に日程を相談 |
| 予約・進行中の対応:確認事項を一覧化 | 会社指定の引き継ぎ担当 | 11月7日 |
空欄版|会社との相談後に記入
| 仕事 | 相手 | 期限 |
|---|---|---|
| ___ | ___ | ___ |
| ___ | ___ | ___ |
| ___ | ___ | ___ |
顧客情報、スタッフの個人情報、業務アカウントは、会社が指定する保管先と方法で引き継ぎます。個人の端末やメールへ持ち出さず、鍵や貸与品の返却先も会社へ確認しましょう。
飲食店長が退職を伝えるときのよくある質問
転職先の会社名まで話すべきですか?
まずは退職の意思と、退職までの相談事項を伝える準備をします。会社名を聞かれ、まだ詳しく話すつもりがない場合は、「今後の勤務先の詳細については、今はお伝えを控えたいと考えています。まず退職までの進め方を確認したいです」など、実際の状況に合う範囲で答えます。契約上の確認事項がある場合は、社内規定などを個別に確かめてください。
口頭で話した後、メールにも残したほうがよいですか?
希望日、会社の返答、次に確認する事項を、会社の連絡方法に合わせて整理すると認識を確かめやすくなります。「退職希望日は○月○日とお伝えしました。引き継ぎ担当者は次回ご確認いただく予定です」のように、希望・確認済み・未定を分けます。退職届などの正式な提出方法も会社へ確認しましょう。
スタッフや取引先には、いつ伝えればよいですか?
上司と、伝える時期・相手・内容を確認してから進めます。特に取引先への担当変更は、会社として誰が案内するかも決めます。スタッフへ説明するときは、会社と確認した日程や引き継ぎを中心にし、同僚の評価や個人的な事情まで広げない形を考えます。
退職日と最終出勤日は、どう整理しますか?
退職日は雇用が終了する日、最終出勤日は最後に勤務する日として分けます。有給休暇の取得を希望する場合は、残日数と希望する日程を確認し、引き継ぎに使える出勤日も合わせて相談します。日付がまだ確定していない部分は「希望」「確認中」と書いておきます。
保存用|退職を伝える準備メモ
話す前に使う空欄版です。
スマートフォンのメモへコピーし、短い言葉で埋めてください。引き継ぎ表は話し合い後の業務整理、このメモは話す前の準備に使います。
退職の意思:______
理由:______
希望日:______
引き継ぎの相談:______
伝える相手:______
話す日時:______
契約・社内手続きで確認すること:______
まとめ|まず話す相手と時間を決める
飲食店長の退職理由は、聞こえのよい言葉を探す前に、自分の事情と意思を整理することから始めましょう。話すときは「退職の意思・理由・希望日・引き継ぎの相談」の順に伝えます。
最後に、事実に合う理由か、希望日と確定日を分けたか、一人で決められない引き継ぎを約束していないかを確認します。まずは、伝える相手と、話す時間を取るための一言を書いてみてください。
退職前の生活費・応募書類・手続きも整える場合は、仕事を辞める前にやること7選へ。次の仕事選びから応募までの全体の順番は、飲食店長から異業種転職のガイドで確認できます。
参考にした公式情報
公式情報の確認日:2026年10月20日。会話例・記入例・記入枠は本記事用に作成しています。
- 厚生労働省「確かめよう労働条件|退職、解雇、雇止めなど」:契約期間による退職の扱いと退職手続きの確認。
- 厚生労働省「総合労働相談コーナーのご案内」:相談内容、利用方法、お近くの窓口。
